商品の説明
明治初期に作成された香蘭社の釉下彩上絵花鳥図花瓶を出品致します。松を染付で、その松にとまる鳥を釉下黒(酸化ウラン)で、それらを取り囲むように草花を上絵で描いています。有田の八代深川栄左衛門が、明治11年(1878)のパリ万国博覧会に参加した翌年にフランスから呈色材として酸化ウランを持ち帰りました。『陶器大辭典』の「つやなしたんき」の項13に、「有田で明治初年頃出した黒色絵具の商品名。深川栄左衛門が仏国より黄色絵具として買って来たもので、ウラニウムを含んだものであつたが、本焼を失敗したら非常によい黒を出したので、斯る変名を用ひて買ったものである。」とあります。
酸化ウランは半減期の長い放射性物質ですから、現在でも放射能を発生させていますが、陶磁器に使われている酸化ウランの放射能はおよそ0.05μSv〜1.8 μSvと一般公衆の実効線量限度の1m Svを遥かに下回っていますから、看過できるレベルです。
香蘭社の蘭マークの左側の花弁が下に垂れ下がらず、左上に直線的に跳ねるように伸びています。この特殊な形状から明治14年前後の作品と推定されます。おそらく、酸化ウランをフランスから持ち帰って間もない頃の作品ではないかと思います。寸法が高さ47cmの大型花瓶です。ワレ、カケ、ヒビはもちろん、伝世品にありがちな擦り傷もありません。非常に綺麗な状態です。
香蘭社が設立されたのは明治8年ですが、明治12年までは、深川栄左衛門・年木庵こと深海兄弟・辻勝蔵がそれぞれの工場で製作した製品やその他外注品を香蘭社としてまとめて販売するという形態をとっています。従って、香蘭社の蘭マークに深川製・辻製・年木庵(深海兄弟の号)のいずれかが記された製品がこの4年の間に存在します。その後、精磁会社に深海と辻が移ってからは、蘭マークに深川の銘だけになりますので、本作は香蘭社が分裂した直後に作られたことがわかります。
因みに、明治陶磁器のブログも書いておりますので、宜しかったらごらんください。
尚、私の説明文と写真をそっくりそのまま盗用して、格安で販売しますという詐欺サイトが最近散見されます。呉々も騙されないようご注意下さい。(呆れたことに、この注意文までコピペしている詐欺サイトもあります。)
商品の情報
カテゴリーホビー・楽器・アート > 美術品・アンティーク・コレクション > 工芸品 > 陶芸商品の状態目立った傷や汚れなし発送元の地域滋賀県